最初で最後のJリーグ・チャンピオン・シップ

 

 

ナビスコ・カップに次いで二度目のPK戦負け。

悔しいが、経験の差が最後の最後で出たといえる。

だが、それでも12月11日、おそらくは最後のチャンピオン・シップは何万というチケット代を払っても見る価値があった。(そんなに払ってないけど)

恐らくはバルセロナの本拠地カンプ・ノウにせまるようなスタジアムのフンイキだったのではないだろーか。(テレビでしか見たことないけど。)

スタジアムのフンイキは2002年のワールドカップの日本戦以上と断言できる。

代表戦はどうしても観客にいろんな温度差の人がいるから、一体感みたいなのはでない。

応援だってみんなが一緒に出来るわけでもないし、初めて来る人も多いのでトンチンカンなところで大騒ぎしたり、逆にほとんど参加していないヤツもいる。

(オフサイドだっつーのに喜んでしまってひとつり浮いている親父とか、ディフェンスがうまくプロックしてるので安心なのにキャーキャーわめくギャルとか、

ただただ仲間と騒ぎたいだけのお祭り気分の若者集団とか、ピクニック気分で来て子供はすっかり退屈してうるさい家族連れとか。)

もちろんそれはそれで仕方がないのだが、代表戦は一緒に応援するというよりも、じっと見入る感覚の方が近い。

そこいくと、昨日の試合はスタジアムと選手の一体感があった。

何より、普段は静かにウンチクたれるだけの輩の多い指定席までゴール裏と連動していたのはすごかった。

 

さて事前に「チケット譲ってください」の人が多くいそうなことや、試合前の応援ボランティアの呼びかけがあったのを知っていたので

指定席ながらいつもより1時間は早くスタジアムに着くようにしたのだが、スタジアム周辺はいつもの比ではないほどの賑わい。

唯一見た、ワールドカップの横国、「日本vsロシア」戦の試合前を思い出した。ほんと。

スタジアム前でやっていた消防隊員による「ハートフル・コンサート」は先日見た高校生の方がよっぽどうまかったので、すぐスタジアムに入ってしまう。

入場で並んでいる時、前に3人組のいかにも招待客みたいなのがいて、「お土産でも買ってきますか?」なんて話してる。

まあ、来たくてもチケットがとれなかったたくさんのサポがいることを思うとなんだかなあ、という感じだが、

招待客ってスポンサー絡みとかなんだろーから、サポとは違うところでチームを支えているともいえるのかな。難しいとこですな。

また中に入ったら入ったで、スタジアムにはまとまった空席がポツンポツンと目立つ。

間違いなく、ダフ屋やチケットゲッターがさばき漏らしたものによるものであることは明らか。

スポンサーの招待客とは違って、あいつらだけは、ただただスポーツ文化を食い荒らす、許せない奴らだ。

・・・と腹を立てるものの、スタジアムがだんだん赤に染まってくるとワクワクしてくる。

この第2戦は何となく「マリノスに勝つのは難しいだろなー」と思ってしまってて、実際、第一戦は完全におさえられてのつまんない試合だったので、

試合前にレッズ・サポが何をやらかすかも、試合と同じくらいの楽しみになっていた。

それにしてもこの試合前の緊迫感、これが強いチームが味わえる、ここ一番の試合というヤツなのね。

1割に満たない程度のマリノス・サポも応援歌を歌いながら、アウェイ席に湧き出るように現れる。

それに引き換え、試合前のレッズ・サポはいつものように不気味なほど静かである。

選手登場とともに爆発するエネルギーを蓄えているかのようである。

だからこそ今日は何をやらかすんだろーという期待感も自ずと沸いてくるのである。

さて「スターティング・イレブの発表」が終わり、しばらくしていつものホームゲームの登場曲と共に選手が入場すると

でました!ゴール裏は「PRIDE OF URAWA」の人文字、スタジアム全体は赤と白の模様に、バック・スタンドにはハートの人文字が。

す、すごすぎる・・・ここはまさにカンプ・ノウだ!おそるべしレッズ・サポーター。

(ちなみにJリーグのチェアマンが試合後に、今日レッズが勝っていたらMVPはサポーターに・・・みたいな話をしていたらしい。)

私は白の風船係りだったが、事前に打ち合わせがあったとおりに、これをキック・オフまで3個持って降り続けるのはなかなか辛かったりした。

うう〜、手がいてーぞ。

それにしてもメイン側は自分サイドなのでどうなってるのかわからん・・・テレビカメラもメイン側は映してくれないし・・・誰か教えちくりー。

 

試合は予想どおりに、攻めるしかないレッズが圧倒的に攻める。

第1戦で不調だった達っちゃんをベンチにおき、平川を右サイド、山田トップ下、永井&エメの2トップに。

ラインはむちゃくちゃ浅く、今期大躍進の鍵となった中盤の山田、長谷部、啓太が動きまくり、マイ・ボールにする場面多し。

また、少ないながらもマリノスにもチャンスがあったが、第1戦で出られなかったネネを加えたトゥーリオ&アルパイの3バックは安定していた。

うーむ、第1戦でネネが出られていたら、負けなかったかも・・・と、「たられば」の悔しさが一瞬こみ上げる。

何度となく、チャンスがあり、なかでもCKからのアルパイのヘッド、FKのトリックプレー(アレ蹴らず山田⇒エメ)、流れからも何度となくゴールにせまるが無得点。

だがシュート自体は少な目。マリノスに最後の最後で守られている感じか・・・これってイヤな予感がするなあ・・・そう、今年のナビ・・・いやいや。

それにしてもなんだ、つくづく山瀬の不在は痛い。

レッズは個人突破できる選手が前線にたくさんいて、それはそれで楽しいし、長谷部は深い位置からゲームを展開でき、なおかつスルー・パスもするどい。

だが、山瀬のように、人を使い、時には自分も生きる、連動性のある動きが足りない気がすんなあ。

山瀬の得意とする、はたいてワン・ツー、時には囮の動きが後少しでもいいから増えるとずいぶん違うと思うんだがなあ。

それからエメ。

後少しでもいいから、周りを使うことを多くすれば、これまたずいぶんと強力になる気がしてならない。

ひとりで強引にでも得点できてしまうだけに難しいところではあるんだけどさあ・・・(そしてまたそれが点取り屋としての魅力でもあるんだけどさあ・・・)。

まあ、その後少し・・・は山瀬も怪我から復帰する来年パワーアップして見せてちょ!と、とりあえずは封印。

 

さて、無得点のまま試合も後半の中頃、疲れて運動量が落ちた平川に代わって達っちゃんが入る。

攻撃の駒がひとつ増えたことにより、スタジアムは大興奮。終盤の追い上げムード満点。

そして後半30分すぎ、カウンターから達っちゃんのスルーにエメが抜け出し、中西がエメを倒して一発レッド。

うー・・・しかしここでふといやな予感。

考えたくなくとも、相手が10人?攻めても攻めても点が入らない・・・?こ、これってナビスコの再現??との思いが・・・。

ところが、このファウルで得たFKを、なんと!今年一度も決められなかったアレが直接決めてしまう。

なんだあ!ナビスコの残像なんて思い過ごしの同点じゃんか!

つーか、スタジアムはそれはそれはさらにさらに大騒ぎとなる。

しつこいが、ワールドカップ2002の「日本vsロシア」で稲本が得点した時レベルの興奮状態!

スタジアムのフンイキのままに押せ押せムードになるが、延長突入直前の、CKからトゥーリオのヘッドは惜しくもGK正面。

あーこれが決まってれば、喜びでショック死するヤツが現れても不思議じゃないくらいの劇的な幕切れだったのに・・・残念!

結局、試合は延長戦へ。そして延長戦も攻めるが無得点。おまけに延長終了間際には、マリノスのしつこいディフェンスについに切れたエメがレッド。

エメは怪我の影響か、終始キレがなかった。それでも、何かやってくれそうなフンイキはあるのだが・・・。

まー結果的にPK戦。そして結果もナビスコの再現になる。

ナビスコでは山田と達っちゃんが止められたが、今回はトゥーリオと長谷部が止められる。

こればかりは時の運・・・といいたいところだが、マリノスは何度も優勝しているだけあって、緊迫した場面でも落ち着いていた。

経験値ではレッズを圧倒していたといっていい。

PK戦での勝敗はその落ち着きの違いだと思った。

 

チャンピオン・シップは来年はもうない。

最後のチャンピオン・シップを体験できたことは、負けたとは言え、とても嬉しかった。

来年からは欧州並みにワン・シーズン制になる。

そして今年すでにリーグの単純な年間成績ではレッズが1位だったのだ。

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