魅惑のユーロ2004 その3 準決勝
1.ポルトガルvsオランダ
オランダは結局不完全燃焼のまま大会を去った。
中盤でのパス回しなど期待させる部分はあったけど、フィニッシュまでには至らなかった。
逆にボールを奪われるとカウンター気味にポルトガルの攻撃に振り回される。
決定機はポルトガルが試合を通じて数回以上、10回近くあったのではないか。
オランダの決定機は前半2度と後半のオウン・ゴールのシーンくらい。
一度目はダーヴィッツの左からの折り返しにファン・ニステルローイが競った子バレだまがフリーのオフェルマルスへ。
シュートはわずかにバーの上を行った。
2度目はセードルフのスルーにファン・ニステルローイとオフェルマルスが抜け出し、
ファン・ニステルローイがシュートしたが、オフサイドになった。
オフェルマルスがシュートをしていたらオフサイドにはならなかったシーン。
ところが前半2度の決定機どちらも顔を出したオフェルマルスをなぜか後半になって引っ込めてしまう。
なんで???アドフォガートさんよー。
ダーヴィッツとロッベンの左サイド・チームとオフェルマルスとセードルフの右サイド・チームは後半に向けて楽しみだっただけに残念!
コクーのフィードもファン・ニステルローイになかなか収まらず、次々と投入されたマッカーイやファン・ホーイドンクも仕事ができず。
時たま攻撃参加した両サイドのファンブロンクホルストとライツィハーのバルセロナ・コンビが可能性を感じたくらい。
期待のファンデルファールトにいたってはボールに何度触った??ってくらい。
一方ポルトガルはオランダのマークのミスからコーナーで先制したことにより、カウンター気味ではあったけど
C・ロナウド、フィーゴ、デコらの突破が有効でオランダはかなり振り回された。
おかしなもので流れからのチャンスが多かったにもかかわらず、追加点もコーナーから。
ショート・コーナーから今大会ポルトガルの影のMVPといってよいマニシェのミドルが決まった。
こういうミドルが決まるってことにポルトガルの勢いを感じた。
その後もオランダが前掛りではあったが、ポルトガルも先の3人が常に効果的に隙を狙い、
また中盤の底ではマニシェとコスティーニャがバランスを保ち、時にはボールを奪い、オランダを焦らせた。
得点は2−1だが、ポルトガルの圧勝といった印象だった。
今回のポルトガルは前回イングランド戦同様、ディフェンスが本当に安定していた。
攻撃陣にばかり目がいきがちだが、ファイナリストになれたのは実はディフェンス陣の踏ん張りが大きいのではないかと思う。
もしかして第一戦目のギリシャにディフェンスのミスから2得点されて負けたことが戒めになっているのではないか。
それに加えてフェリペは2002ワールドカップに続いて今回もなんだかんだと結果を出している。
とかく批判の多い監督だが、選手起用なども当たっているし、選手の力を引き出すのがうまいのかもしれない。
だとしたらポルトガルの勢いはさらに加速しそうだ。
2.ギリシャvsチェコ
ギリシャの完璧なまでのストーリーだった。
とにかくチェコの攻撃陣をつぶすことが最優先。
長身コレルと絶好調バロシュには徹底的にマンツーマン。
ネドヴェド、ロシツキ、ポボルスキーにはギリシャMF陣が最優先でつぶす。
それでも好調なチェコだけあって何度かはチャンスを作るがGKに阻まれる。
チェコの攻撃をしのいだギリシャはボールを奪うとひたすら早い段階でクロスをあげ続ける。
そんなギリシャを見ていて、とある漫画を思い浮かんだ。
相手の攻撃を必死に避けまくりながら、ひたすらアッパーのみを繰り返した「あしたのジョー」の力石徹である。
さらにネドヴェドの負傷交代はチェコにとって痛かった。
ギリシャの守備網を掻き回せそうな一番手を欠いたのはギリシャに追い風となった。
後半中ばになると膠着状態になり、延長になるフンイキでいっぱい。
チェコもコレルとバロシュがそれどれ一度ずつ決定的なシュートチャンスを得るのが精一杯。
それもギリシャの素早い寄せに完全に足にヒットしなかった感じ。
延長戦に入ると、ギリシャもクロスだけでなく、ドリブルなどで突っかける場面も出てくる。
チェコはギリシャ・ディフェンスを強引にこじあけようとしていたイメージだが、
ギリシャは機械的にただクロスをあげ続けただけだったためか、ちょっと違うことをしただけで新鮮でゴールの匂いが漂いだす。
そしてシルバー・ゴール延長前半の終了間際、映画のようなシナリオでコーナーからギリシャが先制点。
最高の時間に最高の形での得点。
チェコに反撃に出る時間がたっぷりあったら、捨て身になったチェコの攻撃を食い止めるのはギノリシャといえどかなり大変だったろう。
もちろん得点した後、すぐに試合終了でギリシャにとって最高のドラマが終わった。
しかし正直言うと、見ていた腹が立ってきた。
ギリシャはとにかくチェコの攻撃を止めるのが最優先でリスクはいっさい犯さない。
チェコはボールを奪ってもDFはたっぷりと人数が残っており、常に守備を崩し続けながらゴールに向わなければならない。
リスクを犯さないから、スリリングなシーンは当然少ない。
やっぱりファイナルではポルトガルvsチェコの攻めあいを見たかった。
結局、決勝戦は開幕戦と同カード。
しかもポルトガルが唯一負けた相手。
開催国のリベンジというおまけつきで最高の形でゴールデン・エイジの最後の舞台を飾る、
ポルトガルにとっての最高のシナリオができたといえなくもない。